【読んだ】「パラダイス山元の飛行機のある暮らし―――年間最多搭乗1022回『ヒコーキの中の人』が贈る空の過ごし方」
2017/09/10
乗り鉄ならぬ”のりひこ”さんという人種がいることを知る
最近、いろんなところでパラダイス山元さんの姿を拝見することが多い。
多彩ですから、そりゃあらゆるところでおみかけするわけです。
元スバルのデザイナーで、初代レガシィやSVXのデザインに関わったすごい方。
日本人唯一の公認サンタクロース。
会員制の餃子専門店の店主。などなどなど。
昨年、とある取材で熊本県天草市に行ったときのこと。車のラジオからはパラダイスさんが餃子やマイルをためていることについて話していました。
「そういえば天草エアラインの機体のデザインに関わっていたな」と、思い出し、自分も天草の海岸線を走っていたのでした(おお!)。
長い前置き終わり。
自分もエアラインの取材をする機会も増え、すっかり飛行機好きを加速させております。
まだまだ乗る機会は少なく、初心者の域を出ませんが、クレジットカードもマイルがたまるものに変更してみました。
で、ある日書店の航空機系のエリアで目に留まったのがパラダイスさんの著書。
「年間最多搭乗1022回」って、どんな乗り方をすればそんな回数になるのか? 気になって買ってみました。
先に言っておくと、その乗り方が一つ一つ書いてる本ではありません。
おもしろエピソードから、最後にはホロッとくる章もあって、満足度の高い1冊です。
短編集のようなエピソードやノウハウ、風刺など多彩な内容
パラダイスさん曰く、”行った先での目的なんて無い。折り返しの便にすぐさま乗ってとんぼ返り”的なことを普通におっしゃいます。
のりひこさんという人種は、乗ることが一番大事なんでしょう。
常人であれば、乗る便、行った先でやりたいこと、宿泊、お土産、帰りの便と順序立てて旅を構築するでしょう。
そうじゃない。
搭乗中にさまざまなドラマが起こるのですね。
密室な機内ならではの人間模様や、ちょっとしたノウハウなど。
パラダイスさんのユーモア全開で語られていきます。
ステータスを維持する猛者たち、とか
お気に入りのアライアンスだけでなく、複数のマイルクラブに入会し、なおかつプレミアム会員で有名なのりひこさんの生態も描かれていたり。
海外の空港のデザインや、日本の空港名の〇ラ〇ラネームなど……
数十年後に明らかとなっているパイロット不足問題、ひとりが飴をくださいというと一斉に欲しがる客席の話というおもしろエピソードが満載です。
と、いろいろ、ホントにいろいろなエピソードが詰まっていているのですが、そもそも飛行機に乗るのが好きじゃないと、共感できないかもしれませんね。
逆に。
逆に、この本は飛行機がどれくらい好きなのか? ということを確認できる踏み絵のような1冊なのだと感じました。
こんな考え方が飛行機の中ならできるかもしれない、と思った
飛行機に乗っていると、地上と意識が変わりませんか?
なんとなく。
もっと飛行機内にいる時間が増やせると、良いアイデアやエピソードも出てくるんじゃないかな、と。
定期的に東京に行くんですが、営業が一番の目的ではありますけど行き帰りの飛行機に乗るのが一番楽しみだったりします。
この本を読んで、もっともっと外に出ていかなければ、と心を新たにしました。
1300円プラス消費税は、安いと感じた1冊です。